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「下から上へ」は意味があるか

「下から上へ、顔を引き上げるようにマッサージするとよい」、「クリームなどを塗るときも下から上へ」とよく言いますが、これは正しいのでしょうか。皮膚は、下から上に引っ張っても引き上がるものではありません。肌にたるみが生じて老化とともに下がってしまうのは、肌全体の構造が変化したからです。真皮のコラーゲンが減ったり傷んだりして肌を支えきれなくなるために、下がってくるのです。ツバキの葉っぱはつんと上を向いていますが、柳の葉っぱはだらんと下がります。コラーゲンの構築が壊れてハリを失った皮膚は、柳の枝のように自分を支えられなくなって、垂れ下がるのです。

柳の枝をいくら下から上に引き上げても手を放せばだらんと下がるように、顔も手を放せやはり下がります。もしも柳の枝を上に向かせたいのであれば、支柱を立てる必要があります。硬いもので枝を強化してやれば、もちろん上を向くでしょう。肌も、下がるのが気になるのであれば、弾力を強化する必要があります。そのためにはコラーゲンを増やすためのレテノールなどのケアが必要になります。顔を下から上に引き上げようとしてぐいぐい引っ張っても、引きあがらないばかりかコラーゲンがさらにいたんでたるみを加速してしまう可能性があります。

首のシワを気にして下から上に引っ張るようなマッサージをしている人もいますが、引っ張れば引っ張るほど、後になってたるんできます。顔形を粘土細工のように変えられると思ってマッサージをレてはいけません。手で押し上げればたるみが引きあがるとか、引っ張ればシワが伸びるだろうという発想は、まるで粘土細工をいじっているかのごとくです。粘土のように顔の形を手で変えられればそんな楽なことはないのですが、実際には皮膚は内部に非常に緻密で繊細な構造をもち、かつ、生きているということを忘れてはいけません。