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「脂とり紙は皮脂をとりすぎる」は本当か

ちなみに脂とり紙で皮脂をとると、とりすぎになって肌が乾燥するという話があるようですが、これは間違いです。脂とり紙で皮脂を全部とることはできないからです。一口に皮脂といってもいろいろな成分が混じってできています。中性脂肪、コレステロール、ワックスなどが皮脂の成分の主なもの。このような複雑な組成のため、皮脂は常温では一部が液状で一部は固体です。脂とり紙では液状の部分はとれますが固形の部分はもちろんとれないので、全部とれてしまうことはないのです。脂とり紙を使うことは、酸化した皮脂による肌荒れや老化を防ぐので、肌にとてもよいことです。

またティッシュでとるという人もいますが、ティッシュは繊維が肌をいためるのでNG。脂とり紙がベストです。洗顔の主な目的は、古くなった皮脂を落とすこと。肌の保湿のための皮脂の役割はそれほど重要ではありません。皮脂を落としても肌には問題はないので、しっかり洗い流しましょう。洗顔のときに使うものは、固形石鹸がおすすめです。泡は手と顔の間のクッションになる程度あれば十分です。Tゾーン→Uゾーンの順で、こすらないよう洗いましょう。洗顔直後は多少つっぱる感じがして、そこで保湿ケアをするとしっとり落ち着くというくらいが適度な洗い上がりです。

化粧水やクリーム・美容液などをコットンでつけるか手でつけるかという論争がありますが、これはずばり手が正解です。毛がふわふわの猫ちゃんでも、水をかければ毛はぺしゃんこ。ふわふわではなくなりますね。ふわふわのコットンは肌にやさしいといううたい文句で売られていますが、コサトンもやはり濡れれば空気が抜けて硬くなります。これで肌をたたくと肌に刺激を与えてしまい、長年の間には肌が黒ずむ原因になります。特に、ほほ骨のあたりが要注意。下に骨がある部分は、力が強くかかります(物理で習ったニュートンの運動の第三法則である「作用・反作用の法則」です)。

ほほ骨の部分は常にたたいたりこすったりという刺激にさらされるので、お手入れに熱心な人ほど黒ずんでいる傾向があります。長年かけて少しずつ黒ずんでいくので、自分でたたいたりこすったりして肌が黒ずんできていても、案外本人は気づかないものなのです。私はこれを「刺激黒皮症」と呼んでいます。ほほ骨の部分にできる肝斑というシミが最近話題になっており、女件ホルモンのバランスがくずれてできやすいといわれますが、肝斑と刺激黒皮症はよく混同されます。むしろ、肝斑ができる原因は女性ホルモンだけでなく、女性たちがよくこの部分をたたいたりこすったりして刺激していることも関係しているのではないかとさえいわれています。スポーツジムのパウダールームなどでよく、パンパンと大きな音をたてて化粧水をたたきこんでいる人を見かけます。

チラツと拝見すると、ほほが真っ赤になるまで熱心にたたいている人もいます。この赤みが炎症つまり肌がいたんでいるサインであり、炎症は少しずつ肌の中にメラニンを生むのです。こういう方は刺激黒皮症予備軍です。化粧水でも美容液でも何でも、スキンケア化粧品はすぺて手でつければよいのです。刺激黒皮症の治療はとても難しいものです。まずレーザー治療は、通常あまり適しません。刺激しないこと、紫外線にあたらないことを厳重に注意しながらビタミンCイオン導入を地道に続けていくと、ある程度薄くなることが期待できます。ちなみに顔でなくボディの皮膚をこすって黒ずんでしまうものは、昔から摩擦黒皮症として知られています。